
都内某所にあるセレモニーホール。
この日、一時代を築いた小説家、熊谷創厳の通夜が執り行われていた。
熊谷家の長男である安吾(小山慶一郎)は、
実の父親が他界したばかりなのにも関わらず、なぜか哀悼する様子がない。
一方、安吾の母で喪主の熊谷七生(秋本奈緒美)は、亭主の死を受け入れられずにいた。
そんなセレモニーホールに、ある男がやってくる。
その男は、安吾の恋人・一条瑞樹(田中美保)の前夫であり、
安吾の幼馴染でもある橋本和夫(瀬川亮)。
和夫はよりによってこの日に、“復縁”を申し込もうと決意し、やってきたのだった。
そこへ更に、親子らしき女が二人(吉本菜穂子、升 ノゾミ)訪ねてくる。
彼女の名前は吉永沙有里。
創厳の遺作となった、不倫小説『妻いらず』に登場する愛人と同姓同名の彼女は─。